嚥下障害と摂食について

脳梗塞や脳出血を患うと左右半身に運動麻痺が残るだけでなく、物を噛む、水分・食物を飲み込む摂食・嚥下に障害が生じる事があります。

運動麻痺の改善にはリハビリテーションを行いますが、体を積極的に動かすためにはエネルギー源となる栄養補給が欠かせません。

摂食とは、口に入れた食物を噛み(咀嚼)、舌で口の奥に食物を運び、ごっくんと反射的に飲み込み(嚥下)、胃へと運ぶ一連の運動です。

この一連の動作のいずれかに障害が起きると、食事を摂るのは難しくなります。

誤嚥

摂食・嚥下機能が低下すると、最も注意する事が誤嚥です。

食物を飲み込む際に、舌の根を後下方へ動かす事で喉に蓋がされ食物が喉へ流れ込むことを防ぎます。喉に蓋がされず喉に食物が流れ込むことを誤嚥と言います。

誤嚥は、むせ込みや誤嚥は肺炎の原因となり、高熱を伴う症状を発し高齢者においては命にかかわる事態になりかねません。

嚥下に問題がある場合は、普通の水ではさらっと喉を通過し誤嚥しやすくなりますので、トロミを付ける事で喉の流れをゆっくりにし誤嚥を防ぎます。

またむせ込みが起こる事がありますが、気管から出そうとする反応です。
しかし、むせ込みが起こる事もなく誤嚥している事もあり注意が必要です。

摂食・嚥下の検査とリハビリテーション

脳梗塞や脳出血を患った後、本人の意識がはっきりしている事が重要です。

嚥下機能の検査

水飲みテスト

小さじスプーンの水分を飲み込んでもらいます。首に聴診器を当て、飲み込んだ際の飲み込み音を聞き取り喉の動きも確認します。飲み込み後、喉に雑音がないか聞き取ります。むせ込みもなく、飲み込み後の雑音もなければ食事のテストを行います。

食事テスト

一口サイズのゼリーを三口に分けて食べてもらいます。水飲みテストと同様に、飲み込み音を聴くために喉に聴診器を当てて確認します。ゼリーの咀嚼、飲み込み、口内の食べ残し、喉に残留がないかをチェックします。問題なく摂食・嚥下ができれば、飲み込みしやすく調理されたミキサー食から日頃の食事を開始します。

嚥下造影検査(VF検査)

レントゲン室でX線を照射しながら、バリウムを混ぜた水分・食物を食べてもらい、口から喉をどのように流れていくかと検査します。喉の残留や気管へ流れていかないか、X線撮影を通して確認します。水分、ゼリー、ミキサー食、トロミ食、刻み食など食物形態を変えた時に安全に飲み込みできているか見る事ができます。

嚥下内視鏡検査(VE検査)

鼻から内視鏡カメラを挿入して、食物をしっかり噛めているのか、唾液とどれくらい混ざり飲み込めているか見る事ができます。レントゲン室で行う嚥下造影検査(VF検査)に比べ、嚥下内視鏡検査(VE検査)は持ち運びができるので、ご自宅でも検査を受ける事ができます。

間接的訓練

深呼吸や発声発音、首や舌・口のストレッチ・運動、空嚥下(唾液を飲み込む)を行い、摂食・嚥下に必要な運動を行います。

直接的訓練

誤嚥を防ぐために、車椅子やベッドを後方に倒し(30~60度)、顎を引いた姿勢を取ります。麻痺のない方に体を向け、顔を麻痺のある方に軽く向けます。
一口食べ、しっかりと咀嚼し、2~3回意識的に飲み込みをします。そうする事で食物の残留を防ぎます。

ご自宅で食事をする際の注意点

ご自宅でご家族と共に食事をする際には以下の事にご注意ください。

1.姿勢に気を付ける。

リハビリを行っている時と同様の姿勢を取り、誤嚥しないよう未然に防ぎます。椅子に座っての食事の場合、左右に姿勢が崩れると嚥下が難しくなりますので良い姿勢を心掛けます。

2.ゆっくりと食事します。

一口食べる度に2~3度と飲み込みをしましょう。しっかりと飲み込んだ事を確認した上で次の一口を食べてください。

3.味を確認する。

脳梗塞や脳出血による麻痺が残ったり、長い期間食事をしていないと味覚が不明瞭になる事があります。食物の味を思い出すためにも確認しながら食事します。

4.会話に注意。

食事中はご家族で楽しんでもらいたいですが、食物が口内に残っている時に話しかけ返事を促すと誤嚥しやすくなります。飲み込んだ事を確認してから話しかけます。

5.食物形態。

ミキサー食・トロミ食・刻み食・普通食と食物形態を変える場合は、医師や言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、看護師に相談し進めてください。

6.食事を楽しむ。

食事は、食卓を家族で囲む貴重な時間です。摂食・嚥下の改善は失語症の改善、失語症の改善は摂食・嚥下の改善にも繋がります。家族との団欒を楽しんでください。