転倒による骨折の危険性

脳梗塞や脳出血を患った方で注意しなければならないのが、転倒です。転倒によって骨折を引き起こすと手術や安静期間を必要とします。

手術や安静期間は、関節拘縮や筋力低下、動作や歩行能力低下の原因にもなります。麻痺の残る上下肢が骨折するとその悪影響は大きいものとなります。

骨折を起こしやすい部位

大腿骨頚部骨折(太ももの骨折)・脊椎圧迫骨折(背骨の骨折)・橈骨遠位端骨折(前腕~手首の骨折)があります。

大腿骨頚部骨折

股関節を形成する太ももの骨を大腿骨と言います。大腿骨の先端部分に骨折が起きた状態が大腿骨頚部骨折です。
大腿骨頚部骨折は、血行を悪くしますので手術が必要となります。手術後は、股関節脱臼しやすくなりますので安静となります。また手術による痛みや筋力の低下と関節拘縮が起き、寝返り・起き上がり・座位や立ち上がりなどの動作に介助を要するようになります。麻痺している側の骨折となると、回復にはさらに時間を要します。
通常、救急病院で手術後1か月入院しリハビリを行います。
その後、回復期病院で3か月~6か月入院リハビリし歩行練習や生活リハビリを行います。
退院後ご自宅での生活に戻ってもバランスや歩行の安定のためには継続したリハビリが必要になります。

脊椎圧迫骨折

尻餅や転倒によって、背骨が圧しつぶされる様に骨折します。
高齢者においては、尻餅や転倒の後、痛みを感じずに生活を続け、数日後に痛みを生じ骨折が判明する事があります。

骨折後はコルセットを装着し、1~3か月間ベッド上で寝たきり安静となります。
背中の痛みが強く、寝返りや咳払いをしただけでも痛みを伴い介助を要します。

骨折の程度によっては神経麻痺を引き起こす事があります。安静期間による筋力低下が顕著に見られるようになります。脊椎の柔軟性や筋力の低下により立位や歩行時のバランスを崩しやすくなりますので、リハビリを行う必要となるでしょう。

橈骨遠位端骨折

転倒や躓いた際に手を付く事で生じる骨折です。橈骨とは、前腕にある2本の骨のうち、親指側にある骨を指します。同部位の骨折は、重症度によって手術を必要とします。

骨折後はギプス固定や手術後の影響で手首の動きが固くなり、筋力も弱くなります。
麻痺している腕が骨折した場合は、日常生活にも支障をきたす事になります。

骨折による身体機能の改善のためにも、リハビリが重要となります。

転倒しないための注意点

転倒は生活の中で防ぐ事もできます。
ここではご自宅内でご注意いただきたい点を紹介します。

玄関

ご自宅の敷地内には、玄関に上がるまで・上がり框に段差があります。
転倒の予防や歩行状態によっては手すりの設置が必要になります。
また、玄関の上がり框には段差解消するために踏み台を置きます。
ご自宅によっては玄関マットを置いていますが、足を付いた際に玄関マットが滑り、転倒を引き起こす事があります。

居間(リビング)

居間は広いスペースになります。
手すりを設置してもご家族の移動を邪魔する事になります。テーブルや椅子を置きつかまって歩けるようにします。
タイヤの付いているテーブル・椅子は転倒を誘発しますので避けて下さい。

トイレ

立ち上がりや座る時、方向転換の際にはバランスを崩しやすくなりますので、不安のある場合は手すりの設置が必要です。

風呂・浴室

水にぬれた床は滑りやすくなり、転倒の危険性が高まります。
浴室では高さのある椅子を使用したり、浴槽の出入りのために浴室の壁に手すりを設置したり、浴槽に板を置き座ったまま出入りできるようにします。
また、浴槽内に台を置き立ちやすくします。

階段

安全な上り下りのために手すりの設置が大切です。
また上りの手順、いい方の脚→麻痺のある脚。
下りの手順、麻痺のある脚→いい方の脚。
それぞれこの手順で上り下りをすると安全に実行できます。

靴下

靴下は滑りやすく転倒の原因にもなります。
特に冬場、ウール素材の靴下はより滑りやすくなります。
床接地面にゴムの付いた靴下もあります。また室内用の靴の使用も進めます。

歩行の改善

実は歩けるようになるとよく転倒します。
この頃は自信を持ち始め積極的にもなります。
しかし、歩けるとはいえ未だ不安定です。
担当理学療法士に歩行の特徴や歩行時のアドバイスをもらい注意する必要があります。