硬膜とは、頭蓋骨の内側にある膜で、脳を覆っています。主に転んだときなど、軽微な頭部外傷によって起こります。頭部を打撲することにより、その部分の血管が損傷し、出血します。急性硬膜下血腫では短期間のうちに出血した血液が脳と硬膜の間に溜まり、脳を圧迫してしまいます。慢性硬膜下血腫では、1~3か月の間に徐々に血液が溜まり脳を圧迫し、さまざまな症状を発します。・お酒をよく飲まれる方・脳梗塞予防薬(抗凝固剤)を飲んでいる方には起こりやすい病気です。

症状

急性硬膜下血腫によって引き起こされる症状として、主たるものは意識障害になります。当初は、はっきりしていた意識も出血した血腫による脳の圧迫が強くなると意識朦朧・消失してしまうことがあります。慢性硬膜下血腫では、1〜3か月の間に次第に症状を見せます。・表情が乏しくなってきた・認知症のようになった・手足の痺れや動きが悪くなった・言葉が上手くしゃべれなくなる、などが見られるようになります。

治療

外科的治療:局所麻痺で行います。頭蓋骨に直径1cmの穴をあけます。その後、脳を覆う硬膜を切り開くと血液が流れ出ます。その内部にチューブを挿入すると手術は終了します。麻酔も含めると約1時間で手術は終了します。チューブは翌日、頭部CTを見て溜まった血液が流れているようなら抜き取ります。血液を抜き取ると、脳への圧迫が抑えられるので、体の麻痺や認知症様の症状が回復していきます。食事やトイレ移動などは翌日から始められ、その後は再発が起きないか合併症の有無を見ながら、約1週間で退院となります。