再生医療

脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を患い、病状の安定する急性期以降の現状は、・医学的な積極的介入は行われない。・発症から6か月が経過すると症状が固定する(改善は難しい)とされ、医療保険は終了となる。・リハビリテーションの効果は、セラピストの経験や技術力・熱量に委ねられる。・長期にわたるリハビリテーションを継続していくには、経済的精神的な負担がある。これらの課題が挙げられます。

れいんぼうフィジカルセラピーのリハビリテーションをお受けになられているお客様には、現状維持のリハビリテーションではなく、改善・お客様の目標達成に向けた積極的なリハビリテーションを提供し続けております。それでももっと改善する方法はないか?と模索する日々です。

昨今、大変注目される治療法があります。それは、「再生医療」です。

ここでいう再生医療とは幹細胞治療の事です。そもそも細胞とは、自身と同じ細胞にしかなれません。皮膚の細胞は皮膚に、血液の細胞は血液にしかなれません。しかし、幹細胞はさまざまな細胞や組織へ成長し変化する万能細胞なのです。もともと人間には、自己修復能力があります。体に障害が発生すると損傷部位から修復要請の信号が出されます。その信号を受け取った幹細胞が損傷部位に集まり必要な細胞に変化することで修復し症状が改善します。これをホーミング作用といいます。ホーミング作用により、傷んだり古くなった細胞は修復や再生を行うことができます。しかし、大きく損傷したり老化が進行すると自己修復機能が衰えます。これによる症状が麻痺として残ってしまいます。ところが、幹細胞を用いた臨床研究では、回復不能と診断された症状が改善する事例が多く報告されるようになってきました。ちなみに、リハビリテーションによって、動かなくなった手足を一生懸命動かそうとすることはこのホーミング作用が活発になり、身体機能が改善するのではないかと言われています。

先日、幹細胞治療(再生医療)を行うクリニックに見学に行ってきました。

幹細胞治療(再生医療)をご希望する患者様は担当医師の診察、血液検査が行われます。その際に再生医療が可能か判断されます。

次に幹細胞の採取を行います。腹部の脂肪を小指サイズ採取します。

院内にあります培養施設で、若く元気な幹細胞を分離・培養します。培養期間は3週間で1億から1億5千万個の幹細胞に増やすそうです。培養施設は無菌状態で温度・二酸化炭素量などを徹底的に管理されていました。3週間の培養後、体内に投与します。こちらのクリニックでは、投与後1か月3か月6か月後に術後診療を行い、経過を診ています。

再生医療はまだまだ未解明な点はあると思います。しかし、回復は難しいと言われてきた患者様の希望になっていることは確かです。これまで脳血管疾患のその後は、リハビリテーションに委ねられていました。私はさまざまな現場でのリハビリテーション場面を見てきました。リハビリテーションの内容、その後の効果はセラピストの経験と技術・熱量により大きく左右されます。しかし、再生医療によって身体機能が改善した状態で、リハビリテーションを行えばその内容と効果には違いが出てくるでしょう。私としても、再生医療分野の益々の発展を期待しています。