先日、「認知症があっても良くなりますか?」このようなご質問をいただきましたので、これまでの経験をもとにご説明いたします。
弊社の歩行リハビリテーションの効果を最大限に高めるためには2つの条件があります。1つ目は、「目標が明確になっている事」目標はリハビリテーションプログラム立案にも大きく関わりますので、大変重要です。2つ目は、コミュニケーションがとれること。リハビリテーションはリハビリテーションプログラムの反復です。そのためには、こちらが求める動作や姿勢を繰り返していただきます。ですからコミュニケーションがとれることは、効果を高めるためには必要な条件です。目標が明確化はリハビリテーション導入時に重要であり、コミュニケーションがとれることは継続していく上で重要です。認知症の方はこれらの条件が難しくなります。それでは、歩行改善ができなくなるのか、と言うと決してそんな事はありません。
リハビリテーションプログラムの中には、下肢筋力トレーニングをすることがあります。認知症の方は、動作の理解や反復が難しいです。基本動作の反復が行えないと基礎体力を強化できません。しかし、下肢筋力を強化せざるを得ない環境に身を置くことで強化する事ができます。例えば、階段の昇り降りは下肢筋力の強化にも繋がります。さらにはバランスの改善にも繋がります。当然、下肢筋力が弱っている時は、膝折れやふらつき、転倒のリスクがあります。しかし、このリスクを抑えて動作改善の環境を設定する事で歩行は確実に改善していきます。認知症の軽重にかかわらず動作は改善していく可能性は十分にあります。
ただし、注意しなければならない事もあります。動作が改善していくと、転倒のリスクも高まります。まだまだ不安定な状態でお一人で動かれてしまい、転倒してしまう危険性があります。ご自宅に在住の方はご家族との情報共有、施設にご入居されている方は介護スタッフとの情報共有をしていくことが大切になります。